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山行報告 | 中島貞夫 | |
記念山行の一つである屋久島は10年以上まえに例会として実施されているので参加者も少なかったのか、無人小屋2泊の縦走で敬遠されたのか、記念山行としては少し寂しい感じはしたが今回参加された女性は意欲満々で、リトル比良へのトレーニング山行も10Kgほどの荷を背負って元気にこなして終え、屋久島縦走も全員無事故で完走できたのは参加者の努力の成果だと思う。 5月24日 コースタイム 淀川登山口16:20−淀川小屋17:00 泊 早朝強い雨の中をチャーターした車で各家を回り、伊丹大阪空港から鹿児島空港へ飛ぶ。ずっと雲が続き下は見えなかったが、鹿児島空港の滑走路に雨の後はなく、霧島連山も見えていた。2時間待ちで屋久島空港へ、良い天気で陽射しが暑いくらいの中を淀川登山口へタクシー2台で向かう。途中猿や鹿と出会いながら屋久島ならでの景色や花、紀元杉の案内をしてもらいながら1460mの駐車場まで一気に上がる。車数台が停まっている。素早く準備をしてスタート、すこしの登りだが路は水たまりやぬかるみで悪い。薄暗い中を小屋に到着約10人の登山者で後に来た人を入れても17人ほどの泊まりでゆったり休めた。夜中木々の間からは月光がさし、星も見えた。
今日は10時間の行動予定なので3時起床、暗い山路を慎重に歩く。小花之江河手前の展望台で真っ赤な日の出を見る。少し風はあるが良い天気である。満開の石楠花が見られるという花之江河の湿原もまったく花はない。黒味岳のすそを回って投石岩屋にくると強い風に帽子も飛ばされそうになる。黒味岳から投石岳には大きな岩が点在し、縦走路には一面の笹の中に岩と石楠花の花で彩られ見飽きることがなく、疲れを感じない山歩きができた。 もう少しで宮之浦岳山頂につくという時、西から雲を伴った強風に襲われゆっくりと展望を楽しむこともできず、堀尾さんの100名山完登を祝い写真を撮り急いで下山した。永田岳への分岐点焼野三叉路で体調の悪い加藤、堀尾さん2人はここで待機して、リュックを置いて永田岳まで5人でピストンする。大きな岩が重なったような山頂で、強い風もあり早々に下りて笹原を戻る。ここからの尾根筋は全面の石楠花で赤、ピンク、白に染まった花に感動した。樹林帯に下ってくると屋久杉などの古木といえる大きな木に次々と出会へ感嘆しきりである。 順調に歩き、予想より早く小屋に到着することができ、寝る場所も早く確保できて一安心。 昼、夜兼用の食事をして明日に備える。その後次々と登山者が到着、通路に横になる人も5〜6人あった。
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創立30周年記念山行 屋久島宮乃浦岳 (世界自然遺産への山旅で百名山完登) |
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堀尾洋子 | ||
洋上アルプスと呼ばれる屋久島は、1000mを超す山々が46座ありすべて花崗岩の隆起によってできた岩の山ばかりである。急峻にそそり立つ山岳の島は温暖多雨な気象条件と黒潮と強い日射しをうけとて、縄文時代の生きた化石戸も言うべき屋久島を育んできた。 鹿児島から乗り継いだ60人乗りプロペラ機はほぼ満席で幸いにも晴天の屋久島に降り立った。 気温21℃であった。2台のタクシーに迎えられて淀川登山口へ向かう。 落川に架かる高見橋の上から常緑照葉樹の美しい山肌が眼下に広がるのを愛でて、川面にカヤックを楽しむ人たちの姿が見られ、暖かな太陽と涼風に歓迎されてのスタートとなった。 淀川登山口からモミ、ツガ,スギの巨木に赤いヒメシャラが美しく混成している樹林の中を40分程で淀川非難小屋に着いた。私たち7名を含めて14~15名で幸いしたが,夜通し寒さで眠れなかった。高木の隙間から見た月と星は”明日も天気だよ”と言ってくれているようだった。3時起床して45分支度を整えて出発した。初夏といえども南の島は真っ暗闇である。淀川に架かる鉄の橋を渡ると、いきなり急登で屋久島の深い森は暗くてヘッドランプの灯りだけで踏み跡を見つけるのは昨日の車酔いの身には頭痛がして少々応えた。 闇の中でもライトを向けるとシャクナゲが咲いていて応援してくれているようだ。 5時前やっと辺りが白んで来てトップ歩きも少しは楽になってきた。千年以上も生き続けているヤクスギや、ツガ、モミ、ヤマグルマ(科属種の希少)の巨木が繁る森に日の出を告げる鶯や小鳥たちのさずりを感じながら5時10分大きな岩の展望台に着いた。風をよけて軽い朝食をとった。照葉樹にシャクナゲの彩りが美しい。正面には巨岩(トーフ岩)を乗せた高盤岳が見える。その後更に高度をあげると樹林帯から抜け出して桜のピンクになぞらえたサクラツツジやアセビ、シャクナゲ、イヌツゲ、ヒメサカキ、ユズリハ、シキミ、等が目立つようになる。投石平はヤクシマシャクナゲの群落スポットで、岩間に薄紅色の花が埋まり、桃源郷のようだつた。視界が開けて雲上散歩を楽しみ高層湿原の花之江河につき記念撮影をする。黒味岳はトラバースして投石岳、翁岳、粟生岳のアップダウンを繰り返し8時40分念願の百山目宮ノ浦岳に登頂した。感激の一瞬である。みんなで三角点にタッチして握手を交わす。ルンルン気分で登ってきた1936mの頂は,流石の洋上とあって霧を伴って強風の拍手喝采で、百名山完登の大歓迎を受けることになった。 同行のメンバーの方々がリレーして手作りをして下さった横断幕が吹き飛ばされそうになる中、単独行の男性に記念の写真をお願いした。岩陰で風を避けてみんなで"ふるさと”斉唱をした。晴れていれば北に九州最南端の佐多岬や1年前に登頂した凛々しい開聞岳や南方にトカラ列島、東には種子島が望めるのであるが・・・・ 一面のヤクササにヤクシャクナゲが花崗岩に配置良く咲き誇る下山道を永田岳への分岐の焼野三叉路に着いて空腹を満たす。kさんと私は、ガスと強風と体調もあって5人を九州第2高峰である永田岳に見送って待つことにした。11時30分満足気に戻って来られた。 そこから更にシャクナゲが次々と咲き乱れる尾根を2時間30分下り、新高塚小屋に着いた。午後2時であったが先着の登山者が大勢いてみんなで30余名だったろうか。きれいに整備された広いウッドデッキのテント場のそばに豊かな水量の水場があり何より嬉しかった。小屋のそばにもパンビ程のヤクシカが生息していてのんびり姿を現していた。 昨夜の不眠の為か朝の3時までぐっすりと眠った。 今日は樹齢2000年とも7200年ともいわれる縄文杉に会って日の出を迎えるために3時35分に出発した。Tさんに先頭を交代してもらって次に続いた。申し訳にライトで前方を照らし明け方までひたすら歩いた。立派な櫓のような足場を従えた縄文杉は世界遺産の保護のために作られたのだろう。日の出を待ちつつ朝食にする。天幕を張って縄文杉を写真家が大きな三脚を構えていた。縄文杉は太古の風雪に耐えて太い割にはずんぐりと生が低く武骨な風采でたっていた。絡み合う変幻自在のオブジェがそこかしこにみられる夫婦杉や、大王杉巨大な切り株ウイルソン株を経て、仁王杉,三代杉を見て大株歩道を辻峠に向かった。大きな1枚岩の岩屋に圧倒されながら急登の直登を15分程行き太鼓岩へついた。パット開けた宮ノ浦岳の展望に息を飲み岩の上でしばらく寝転がって自然の息吹をかみしめる。幸せなひと時である。後々に出会ったペアーはこの太鼓岩が目的でわざわざ4時間を要して登っているのである。私たちはその逆コース取りに満足していた。 白谷雲水峡は屋久杉と照葉樹が混成し地床植物(シダ、苔類)で緑に覆われていて「もののけ姫」の舞台になったところで、幽玄の世界に引き込まれる。まさに神秘の森でウイルソン株に限らず切り株の多さに驚いた。 江戸時代に屋久杉の5~7割が切り倒されたそうだ。古くは豊臣秀吉が京都に寺を建てるために杉を運んだという記録があるそうだ。倒した木は山の中で割って平木(10*50センチ)の屋根を葺く材料にしたらしい。腐りにくい平木ば関西で重宝したようだ。 森の中を流れる白谷河の清冽な流れは重なり合った巨岩にぶつかり白濁して見事な飛沫をあげている。サクラツツジ戸サツキが彩り豊かな自然の庭園をみせていた。 中でも飛流おとしは圧巻であった。13時45分に白谷雲水峡の入口についた。山岳部保全募金(トイレのし尿搬出や自然環境保全のため)500円也に協力をし、ワッペンを頂いた。タクシーの迎えで宮乃浦の「民宿たけすぎ」に投宿した。3日振りの汗を流し名産の飛び魚の御馳走で生ビールの祝杯を受け、百名山の幾多の思い出が脳裏を駆け巡り達成の喜びにしたっていた。 山友回入会以来、実に17年余の歳月が経過していた。”穂高だから”行きたいとの思いから 北海道の山からアルプスの山々、さらに九州屋久島に至るまで、多くの方々のお陰であり、感謝申し上げます。百めいざん登り数えること44~45座の頃より目標を立てそれを達成する喜び、数だけが目的ではないが登った山の分だけ自分の得難い体験を得ることができた。来る11月7日(日)に開催される"命輝け第九コンサート”の練習を5月から始めたばかりであるが、その第九の有名な小節の中から、 ♪ 晴れたる青空漂う雲よ 小鳥は歌えり林に森に 心は朗らか喜びに満ちて 見かわす我らの歓びの歌 ♪ |
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日本百名山完登を祝して | ||
佐々木英夫 | ||
堀尾さん、日本百名山完登の快挙 おめでとうございます。京都田辺山友会に入会して以来、山友会の多くの仲間と共に目指した山々の楽しさ、厳しさの延長に、百山の目標を見つけ、世界自然遺産の屋久島宮乃浦岳にて百を数え終えた喜びを、皆さんとともに分かち合いたいと思います。 思い出せば限りのない百山でありますが、皆さんと登った北海道の羅臼岳・斜里岳・雌阿寒岳が最初でした。もう10年くらい前になりますか。それ以来、百名山の山行に多くご一緒させてもらいましたが、最後の完登では、ご一緒できず申し訳なく思っております。 快挙のお祝いに私の好きな串田孫一の言葉を送ります。 山には痛快な征服の喜びもある。自分にも登れたという誇りも味わえる。 空気がそこにぴんと張っていて震えるような快感もあるだろう。 だが、それよりもさらに大きなことは、自分という人間を、むき出しの 非情の自然の中において確かめることである。 |
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30周年記念山行 屋久島での印象一言集 | ||
嵐の歓迎!? に感激!! |
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一面のシャクナゲに感激!! |
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苔むした巨木に驚き! 樹齢7200年の縄文杉をはじめ翁杉、大王杉、ウィルソン杉など威厳を感じる巨木に圧倒されました。苔で覆われた古木に触れるとふっわとしてとても柔らかかった!(玉井美智子) |
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屋久鹿のお出迎えに感動! (河合美恵子) |
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岩塊の山々に感動!! |
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永田岳の巨岩に立つ | ||
女性6名との山行で腰もこんなになりました。 | ||